2022年8月、文部科学省は、2024年度に小学校5年生から中学校3年生の「英語」でデジタル教科書を先んじて導入することを発表しました。そのことを背景に、ICT機器である電子黒板は、教育現場での革新的なツールとして急速に普及しています。その多機能性は、授業をより効果的、そしてエンゲージングなものに変える力を持っています。
今回は、電子黒板の主な機能や使い方、教育現場での活用事例など、具体的に解説していきます。
目次
電子黒板の機能は大きく3つある
表示する
教育資料の多様性
電子黒板は、デジタル教科書、PDF、プレゼンテーション、さらにはインターネット上の資料まで、多種多様なフォーマットの教材を大画面で表示することが可能です。これによって、生徒たちの理解度を高めるビジュアルエイドとして非常に有用です。
インタラクティブな授業展開
動画やアニメーションもスムーズに表示できます。これが可能にするのは、例えば歴史の授業で時代背景を動画で流して説明するなど、よりインタラクティブな授業展開です。
書き込む
自由な発想を形に
電子黒板には手書きのメモやスケッチが簡単に書き込める機能があります。これを活用することで、先生も生徒も思いついたアイデアをすぐにビジュアル化できます。
解説・課題のフィードバック
数学や科学の課題で、解き方のステップを順を追って書き込むことができます。生徒が解答した内容に対して、即座に書き込みでフィードバックすることも可能です。
保存・保管する
授業内容のアーカイブ
書き込んだメモやスケッチ、表示した教材や動画など、授業で使用したすべての内容を保存できます。これにより、授業の復習や次回に向けた準備が大幅に効率化されます。
資料の共有
保存されたデータは、クラウドストレージや学校の内部ネットワークを介して簡単に共有することができます。これによって、生徒は授業後でも資料にアクセスし、復習や自習が行いやすくなります。
以上のような多機能性によって、電子黒板は近い将来、ICT教育の有用なツールとして、教育現場で欠かせないツールになります。先生方には、これからもこの革新的なテクノロジーを最大限に活用していただきたいと思います。
電子黒板の使用方法
教育現場で電子黒板を効果的に活用するためには、その基本的な使用方法を把握することが不可欠です。以下で、先生方が授業中にスムーズに電子黒板を操作できるよう、基本的なステップを詳しく解説します。
①電源を入れる
早めの準備が鍵
教室に到着したら、まずは電子黒板の電源を入れます。多くの最新型では起動までの時間が短いものの、早めに電源を入れておくことで、授業開始時にスムーズに運用できます。
プレチェックの重要性
電源を入れた後は、表示画面が正しく映るか、タッチパネルが正確に反応するかなど、基本的な動作確認を行いましょう。
②必要に応じてPCと接続する
ワイヤレス・有線の選択
多くの電子黒板は、ワイヤレスまたは有線でPCと接続することができます。ワイヤレス接続は設定が簡単で便利ですが、安定した接続が必要な場合は有線接続を選ぶこともあります。
教材の準備
PCに保存されたプレゼンテーションやデジタル教科書、動画などの教材を開いておきます。これによって、授業が始まった瞬間から教材を瞬時に表示できます。
③接続した端末の画面を電子黒板に映す
ミラーリングの活用
一般的には、接続したPCやタブレットの画面を電子黒板に「ミラーリング」します。これにより、先生が端末で操作する内容がそのまま電子黒板に映し出されるため、授業の進行が大いにスムーズになります。
画面分割で多面的な授業を
一部の高機能な電子黒板では、画面を分割して同時に複数の内容を表示することも可能です。例えば、一方では授業ノートを、もう一方では関連する動画を流すといった多角的な授業展開が可能です。
以上が、教育現場での電子黒板の基本的な使用方法です。これらのステップをマスターすることで、授業がより円滑かつ効果的に行えるでしょう。
電子黒板の種類
教育現場では、さまざまなタイプの電子黒板が使用されています。特に、液晶プロジェクター投影タイプとディスプレイタイプが主流です。以下では、各タイプの特性と教育現場での利用シーンについて深堀りします。
液晶プロジェクター投影タイプ
特徴
- 70〜80インチの大きな画面が比較的廉価に導入できる。
- 現在のモデルは3,000ルーメン以上の明るさがあり、教室を暗くしなくても使用可能。
- 超短焦点投影で手が影になりにくい。
教育現場での適用例
- 大人数のクラスでの使用が可能。
- 一斉授業やグループワークでの共有画面として活用。
- 理科や社会など、視覚教材が多用される教科で特に有用。
課題と対策
- ランプ交換が必要で、運用費がかかる。→ 最近のLEDタイプはこれを解消。
ディスプレイタイプ
特徴
- 画面が明るく、鮮明な表示が可能。
- 60〜80インチクラスが主流で、大きさは十分。
- 高価。
教育現場での適用例
- 小人数の特別支援教育やセミナー形式の授業。
- 映像や写真を鮮明に表示する必要がある美術や歴史の授業。
課題と対策
- バックライトに寿命があり、長期使用で画面が暗くなる。→ 予備のバックライトを用意。
その他の種類
特徴
- 既存のテレビやディスプレイに取り付けて使用するタイプ。
- 比較的安価に導入できる。
教育現場での適用例
- 予算が限られた小規模な学校や教室。
- 補習授業や個別指導など、一時的なニーズに応じて導入。
以上のように、各タイプの電子黒板が教育現場でどのように活用されているか、また、それぞれの課題と対策を理解することが重要です。それにより、より効果的な教育が実現可能となります。
電子黒板の学校での活用事例
電子黒板の活用は、基礎教育(小学校教育)に具体的な体験を伴う学習を生み、中・高等教育には図形やグラフ、関数など抽象度の高い複雑な問題の理解を促進することで教育現場を革新し、より効果的な学習環境を提供しています。以下に、具体的な活用事例をいくつか紹介します。
基礎教育での使用
事例①:インタラクティブな算数・数学授業
- 電子黒板を用いて図形を動かしたり、式の変形をリアルタイムで表示。
- 生徒が自ら問題を解く過程を全クラスで共有、評価。
事例②:外国語の発音練習
- 電子黒板と音声認識ソフトを連携。
- 生徒が発音すると、その品質が電子黒板に表示され、即座にフィードバックが得られる。
中・高等教育での使用
事例③:実験データの共有
- 理科実験で得られたデータを電子黒板に表示。
- 生徒たちがその場でデータを分析、討論。
事例④:歴史・地理の授業でのマッピング
- 電子黒板で時系列や地図情報を動的に表示。
- 生徒が直接地図上に注釈をつけることで、より深い理解を促す。
特別支援教育での使用
事例⑤:感覚統合活動
- 電子黒板で触覚や視覚に訴えるような教材を表示。
- 特別支援が必要な生徒が多感覚で情報を捉えられるようサポート。
教師のプロフェッショナルデベロップメント
事例⑥:授業改善のためのレビュー会
- 授業中の電子黒板の使用状況を録画。
- 録画をもとに教師同士で授業改善のアイディアを共有と議論。
電子黒板は多機能かつ多目的に使えるため、教育現場においてはその活用範囲が非常に広いです。特に、リアルタイムでの情報共有や多感覚での情報提示が可能な点が、従来の黒板にはない強みと言えるでしょう。このようにして、電子黒板は教育現場で多くの革新的な活用事例を生んでいます。
授業における電子黒板の具体的な活用事例はこちらの記事をどうぞ。
電子黒板を授業で活用するメリット
電子黒板は教育現場において多くのメリットを提供しています。以下に、その利点を生徒、教師、学校の3つの側面から詳しく探ります。
生徒
メリット①:高度な視覚的理解
電子黒板での動的な表示やインタラクティブな要素が、生徒の視覚的理解を深める。
メリット②:参加意欲の向上
電子黒板のタッチ機能や投影機能を使って、生徒自身が積極的に授業に参加できる。
メリット③:即時のフィードバック
クイズや練習問題の結果をリアルタイムで表示することで、生徒が自分の理解度を即時に確認できる。
教師
メリット④:教材の多様化
電子黒板を使用することで、動画や音声、インターネットの資料など、多様な教材を簡単に授業に取り入れられる。
メリット⑤:効率的な授業運営
過去に使用したデータや板書を保存・再利用できるため、授業の準備や進行がスムーズになる。
メリット⑥:生徒の理解度を把握
電子黒板で生徒の回答や反応を集めることで、その場で生徒の理解度や疑問点を把握できる。
学校
メリット⑦:教育水準の向上
電子黒板の導入によって、教育内容や教材が質的に向上する可能性が高い。
メリット⑧:長期的なコスト削減
紙やチョーク、消しゴムなどの消耗品コストが削減される。また、電子黒板で保存されたデータは繰り返し使用できる。
メリット⑨:環境に優しい
紙の使用を減らすことで、環境に対する負荷を減らすことができる。
これらのメリットを総合的に考えると、電子黒板の導入は教育現場にとって非常に有用であると言えます。特に、生徒が授業に積極的に参加する機会が増え、教師が効率的に教育できる環境が整う点が大きな利点となっています。
電子黒板を授業で活用するデメリット
電子黒板が教育現場で多くのメリットを提供する一方で、デメリットも無視できない点です。以下に、その問題点を詳しく説明します。
初期費用と維持費
高品質の電子黒板は高価であり、導入初期費用がかかるだけでなく、故障時の修理費用も考慮する必要があります。
技術的トラブル
ソフトウェアの不具合やハードウェアの故障が起きた場合、授業が中断される可能性があります。
教師の研修
電子黒板の効果的な利用には、教師自身がその操作に慣れる必要があり、これには時間と労力がかかります。
学習の均等性
全ての教室や学校に電子黒板が導入されていない場合、学習環境に格差が生まれる可能性があります。
依存の危険性
電子黒板への過度な依存が教育内容や教材の多様性を損なう可能性もあります。
電子黒板の導入を検討される際は、ANSHI JAPANにご相談ください。
導入前には、多くの側面を総合的に考慮する必要があります。ANSHI JAPANでは、教育現場に特化した電子黒板の導入コンサルティングを提供しています。
ニーズに合わせた製品選定
教育目的や予算に応じて、最適な電子黒板の製品選定をサポートします。
研修プログラム
教師やスタッフが電子黒板を効果的に使えるように、操作方法や活用例についての研修を提供します。また、初期設定•基本操作•付属アプリのマニュアルを動画で公開しています。具体的な操作方法を確認したい方はこちらの使い方•設定ガイドをご覧下さい。
長期的サポート
導入後も、維持・管理に関するサポートを行います。
費用対効果の分析
電子黒板導入のROI(投資対効果)を計算し、長期的な運用計画を考慮に入れます。
ICT教育のニーズが多様化する現代の教育現場に合わせて、ANSHI TOUCHは様々な機能を搭載しています。ANSHI TOUCHの教育現場での活用方法や導入実績はこちらのページをご覧ください。